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●隙間(アガキ)の仕上がりが精度上重要
前にも説明しましたが、機械式ムーブメントの基本構造は、上下二枚の受板の間に全舞から動力を伝える3ヶの歯車と、エスケープメントと呼ばれる(雁木車、アンクル、テンプ)部分で構成されています。これらの部品は受板の間や、各歯車の間などには極めて小さな隙間(アガキとも言います)があります。この隙間が精度上非常に重要になります。
この隙間は小さいほど精度上良いのですが、小さすぎるとキシンでしまい、動力の伝達が無くなります。逆に大きすぎると、動力の伝達にムラがでて、精度上にも悪影響になります。
これら隙間の仕上がり具合が、各時計メーカーの品質、価格の差になってくるのです。
●近年、テンプ回転数は1秒間に8回転(1時間に28,800回転)が最適
更に機械式時計の精度を決定する重要な部分はエスケープメント(雁木車、アンクル、テンプ)にあります。但し、そのほかの部品の精度も良くなければいけませんが(全舞から伝えられる動力も滑らかに無駄なく伝えられているとして)雁木車(昔の用語で家の軒の雁木に似ていた)は、次のアンクルに力を伝えると、アンクルは雁木車の回転運動から反復運動に変わります。
アンクルはその反復作用により、最後のパーツのテンプを往復回転運動させます。この往復運動はムーブメント種類によって幾つかありますが、1秒間に
5回転、6回転、8回転、10回転などがあります。現在の主流ムーブメントは8回転がほとんどです。このテンプの往復する回転角度は時計を平に置いた状態で260°〜300°(全舞が一パイに巻かれた状態で)往復回転しています。この回転数と、角度によって時間精度に影響が出るのです。
実際テンプの回転数は早い程精度上は良くなるのですが、近年のムーブメントは部品の耐久性や油の保油能力などから8回転が最適と考えられています。
●テンプの回転角度・ヒゲ全舞の長さで精度に差がでる
では、何故テンプの回転角度で精度に差が出るかと言いますと、例えば、1秒間に8回転するテンプが平均280°回転すべきところを200°しか回転しないとすると、それだけ往復運動が遅くなってしまう、これは時間が遅れることになるのです。逆に回転数が350°以上になってしまうと、進んでしまいます。
更にヒゲ全舞の長さによって、時間精度に差が出ます。ヒゲ全舞は調整可能になっていますので、精度テスターで調整します。テンプの往復回転は、テンプに取り付けられたヒゲ全舞の伸び縮みの作用によって行われます。
●どんな時計にも姿勢差、位置差がでます
続いて姿勢差があります。時計を平に置いた時と、腕に付けているときの差です。平らな時に280°回転しているテンプも腕に付けているときは常に時計の位置は変化しているわけですから、どんな時計にも姿勢差、位置差がでます(高精度ムーブメント程その差は少ないのですが)なぜならば平の状態で280°回転しても、横位置では260°になる、斜めでは又変わるなどで、時間精度に影響が出ます。
これら全ての位置の調整を行ったものを、5姿勢調整、(時計を平に置いた状態、リユウズの上下位置、6時方向上下位置)と言い高級品や、クロノメーターの証明書付(各位置で平均日差+-5秒以内に調整したものなど)時計などはこれになります。
●温度差・パーツ類の経年変化等種々の影響で時計精度は決められていく
更にこれに加えて、温度による差なども影響されます。温度差はこのムーブメントに使用されている材料や油によって影響される為、温度変化の少ない工材やオイル等が使用されています。その他パーツ類の経年変化等、種々の影響が含まれて、時計精度は、決められていくのです。
●作業のコストの掛け方で時計の精度に差が出てくる
近年機械時計ムーブメントの生産は、スイスが最大の生産国になっています。そのメーカーは、一部の(ムーブメントから完成品まで自社で行っている)一貫生産の高級時計メーカー数社を除けばわずか一社がクオーツムーブメントから各種の機械ムーブメントまでの生産を行っています。このメーカーが生産したムーブメントは、世界中の各時計ブランド各社に購入されて、自社や依託アッセンブリー(組立)工場で各社独自の仕上げ工程で部品の精度を上げたり、受板に独自の模様を施したり、時間精度を上げる為の(エスケープメントの調整)などを行って完成品にします。これらの作業のコストの掛け方で、時計の精度に差が出てくるのです。
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